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2010年3月

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2009年6月14日 (日)

追悼:三沢光晴 ジェンガの上に立つ私

楽しく素敵な日だと思っていたのに
終演後に飲んだくれた
その帰宅途中
ランディーズ高井君からのメールによって
訃報を知った。

昨晩
レスラーの三沢光晴選手が
広島での試合中に亡くなった。
昭和から平成をつないだ
不世出の名選手である。

昨日の昼間に
私は「スマイル」の瀬戸君
楽屋に置かれていた
「ジェンガ」というゲームをした。
積み重ねられたブロックを
塔を倒さないように
1本ずつ抜いていくゲームだ。

三沢選手の死の知らせを聞いて
私はなぜかすぐに
瀬戸君と興じた「ジェンガ」を思い出した。
戦後の復興期に始まり
テレビ普及の最大の要因ともなったプロレス。
子供の頃から今に至るまで大好きなプロレス。
これまでの歴史の中で
築き上げられた塔はあまりにも高い。
しかし
そんな塔からは
幾本ものブロックが抜かれて行く。
「いてくれて当然」
と思っている選手達が
どんどん消えて行く。

ふと気がつけば
ジャイアント馬場も
ジャンボ鶴田も
橋本真也もいない世の中になっていた。

アンドレ・ザ・ジャイアントも
ブルーザー・ブロディも
クラッシャー・バンバン・ビガロも
塔の中から抜かれて行った。

オーエン・ハートも
エディ・ゲレロも
クリス・ベノワも
テストも
抜かれるべきでない時に塔から抜かれた。

そして昨日の晩
三沢光晴が抜けた世界が生まれた。

プロレス・ファンな私は
きっとジェンガの上に立って生きている。
そしていつか
全てが崩れてしまうのでは?
という不安にかられながら
バランスをとっている。

2002年に名古屋で上演した
『ダブリンの鐘つきカビ人間』の客席に
斉藤彰俊選手がいた。
作品に感動してくれた斉藤選手は
そのまま私を含む出演者数名を
自らが名古屋市内で経営するバーに
招待してくれた。
私達は斉藤選手が作ってくれるカクテルを
斉藤選手に解説してもらいながら楽しんだ。
かつては「誠心会館軍団」として
共に新日本プロレスに殴り込みをかけた盟友
田尻茂一氏(現在は俳優)に
「僕も田尻さんぐらい大きかったらよかったのになぁ」
と笑顔で語っていた斉藤選手。
小さい体を最大限までパンプアップして
やがてはプロレス団体NOAHの
チャンピオンにまでのし上がった過程には
言葉では語り尽くせない努力があったに違いない。
しかしバー・カウンターの中にいた斉藤選手は
決して笑顔をたやさず
実に温厚で素敵な人物である事を
初対面の私に感じさせた。

自分がかけたバックドロップで
世紀の名レスラーが命を失ってしまった事は
今の斉藤選手の心を
どうしようもないほどに苦しめているはずだ。
亡くなった三沢選手の冥福は心から祈りたいが
まずは
あの優しくて物静かな斉藤彰俊選手が
元気である事を祈りたい。