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2012年5月

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2008年9月10日 (水)

伊藤が帰ってくる!!

「ほう。さすがにお目がトライブ。」
「悪いが他人の子供を冷蔵庫に閉じこめているんで早くしてくれ。」
「神田川にいた頃私が怖かったのはあなたの優しさだけだ。」

いきなりだが私の過去作品で
こんな事ばかり言っていた登場人物を
憶えている人はまだいるだろうか?

「高いなぁ。人がまるでアリのように・・・アリか。」
「くだらん。私は蒲生四丁目へ帰る。」

これで思い出す人が数人増えただろう!
ではこれではどうか?

「ふふ。」
「ジュイーン!」
「ぴーぼん!」

その登場人物は
私の作品に毎回現れ名前を問われては
こんな風に名乗る!

「神戸に生まれ神戸に育ち神戸を愛するこの俺を
 人はこう呼ぶ。
 ・・・羽曳野の伊藤。」
   (『Piper』1998年)

1990年の私の作家デビュー作
『伝説の魔人ラテンキング』から
2001年のG2プロデュース
『天才脚本家』まで
実に11年間に渡って私の作品を荒らした
久保田浩演じる怪人「羽曳野の伊藤」だ!
私は1989年から1996年までの7年間
「遊気舎」という劇団に所属していた!
「羽曳野の伊藤」はそんな遊気舎の超人気キャラクターだった!

「何者?
 とある組織が雇用した調査員とでも
 言っておこうか。
 まぁ本業はトロンボーン奏者だがな。
 トロンボーンを買うために
 こんな仕事をしているわけだ。」
   (『12人の入りたい奴ら』1997年)

最初の登場となった前述の遊気舎作品
『伝説の魔人ラテンキング』では
「かざぐるまの弥七」を模した三度笠スタイルで登場し
その武器もかざぐるまだったが
続く同年の作品『ドクトルツートーンの挑戦』では
『ゴルゴ13』のようなスーツで現れ
背後に人が立てば敵味方なく殴り倒した!
そして翌年の作品『モリコーネ』では
なぜかその衣装に無意味な白手袋をはめた!
何で怒るかはわからないが怒ると突然
「ぴーぼん」と言って目から光線を出し
相手をほんの一部だけ焼いた!

「地理感がいいんでみんなからは
『地理感ちゃん』と呼ばれてた。
 みんな言ったもんさ。
 よう!地理感ちゃんってね。」
   (『TOUCHABLES』1998年)

当時、遊気舎の新聞のような物に
「大王(おおきみ)ひろひと」のペンネームで
私は4コマ漫画を描いていた!
そのペンネームのイメージが
私の普段のキャラクターと合致したのだろう!
ファンの間で私は「大王」と呼ばれ始めた!
同時に俳優・久保田浩は「伊藤さん」と呼ばれた!
遊気舎には「伊藤さん」という制作スタッフもいたのだが
世間的に「遊気舎の伊藤さん」と言えば
間違いなく久保田浩の事だった!

「ふふ。赤沢さんのような奴だ。」

唐突に自分だけが知っている友人の名前を出す羽曳野の伊藤!
当時「赤沢さんを一度登場させて下さい」という
アンケートやファンレターは膨大な量に登った!
私はついぞ「赤沢さん」を登場させる事はなかったが
同時に2001年の『天才脚本家』をもって
「羽曳野の伊藤」を書くのもやめた!

「騙されるなよ。
 先週もそれだった。
 『本日のコーヒー』なんて名前だがな。
 実を明かせば『先週のコーヒー』だ。
 それをみんなに伝えたくて開店前からここにいる。」
   (『天才脚本家』2001年)

遊気舎後任座長には久保田浩が就任した!
久保田浩は私が消えた後の遊気舎を抱えた!
彼は「また後藤ひろひと作品をやって下さい!」
というファンの要望には一切応えず
まったく新しい遊気舎を作ろうと努力した!
しかし私が遊気舎に残した物があまりに大きかったため
彼はとんでもなく悩み苦しんだ!
私が座長だった頃には40人近くいた劇団員だったが
一人辞め二人辞めするうちに
現在では10人ほどの集団になった!
「伊藤さん」と呼ばれていた「久保田さん」だったが
もう誰もが「久保田さん」としか呼ばなくなった!
一時はお互い顔を合わせるのも避けていたが
少しずつ少しずつ温暖化と共に氷は溶け始めた!

「『羽曳野の伊藤』を出そう思てんねんけどええやろか?」
先日届いた久保田浩からのメールに私は驚いた!
しかも送られて来た遊気舎次回公演のチラシ写真には
出演欄に「久保田浩」の名前は無く
あろう事か「羽曳野の伊藤」と書かれていた!
「ええやろか?」と許可を求められたものの
私にそんな権限はない!
『羽曳野の伊藤』は久保田浩だし
久保田浩こそが『羽曳野の伊藤』なのだ!
そこに私などは決して介在しない!

なんとも不思議で信じられない!
今月!
あの『羽曳野の伊藤』が帰って来る!
「スーツに白手袋のおかしな髪型の男」
とよく雑誌には書かれたが
髪型がおかしいのは特に演出ではない!
久保田浩はああいうおかしな髪型なのだ!
またあのブーメランは投げるのだろうか?
赤沢さんの話をするだろうか?
目から光線を出すだろうか?
「ジュイーン」と言って消えるのだろうか?
なにしろ7年会っていない親友!
元気でいてくれているだろうか?
考えただけでも心がひろぐ!!

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