心が次の仕事に移ってしまう前に
書き忘れた「王立新喜劇」に関する文章を
記しておかなければいけない!
・「中山エミリ」嬢の場合
『ガス人間第1号』から
連続で付き合ってくれた
「エミリ先輩」こと「中山エミリ」嬢!
『ガス人間第1号』では
度重なる「リライト(書き直し)作業」があったため
舞台経験の少ない彼女なのに
多分に迷惑をかけてしまった!
『ガス人間第1号』同様の緊張感で
「王立新喜劇」の稽古場に現れた彼女に
私は言った!
「なんの緊張もいらないよ!
大丈夫!
これは『ガス人間第1号』で苦労をかけた
そのご褒美だと思っておくれ!」
「ご褒美」にしては
「三井住友VISAカード」で身体をこすられ
果てはフランスパンが折れるほど頭を殴られ
散々な目に遭わせてしまった!
しかし反省などするものか!
これで身体的苦痛はイーブンだ!
思いきり殴られるほど
お客さんの笑い声は大きくなる!
それに気づいた彼女は既に立派なコメディエンヌだ!
東京公演を見に来てくれた彼女の妹
「英玲奈(えれな)」ちゃんは
「家族としては
フランスパンより固い物で叩いても
全然かまわなかったですよ!」
と心強いコメントを残してくれた!
かつてコメディアンの「渥美清」さんは
その無名時代に
自らの目が細く小さい事に悩んだ!
そして自らが世界初となる
「目の小さいコメディアン」
になる努力を重ね
やがてはその地位を勝ち取り
ギネスブックに載る伝説の人となった!
(ギネスに載った理由は
目の小ささではなく
『男はつらいよ』シリーズの本数!)
「渥美清」さんの苦労を思えば
「エミリ先輩」の顔は
ナチュラル・ボーンに優秀なコメディエンヌだ!
「エミリ先輩」よ!
いっぱいこちら側にいらっしゃい!
・「川田利明」選手の場合
よもや「デンジャラスK」と呼ばれる
あの「川田利明」選手と
「今から『パラノーマル・アクティビティ』を見ます!」
「俺ああいう怖い映画ダメなんですよぉ!」
などというメールを交換する仲になろうとは
夢にも思わなかった!
私はこれまで何人ものプロレスラーに
俳優としての仕事を依頼し実現させて来た!
「人間風車」と呼ばれた「ビル・ロビンソン」選手とは
Piper第2回公演『Nicholas McPherson』で!
続くPiper第3回公演
『ホセ中村とギャッフンボーイズ』では
「セクシー・ストーム」こと「リッキー・フジ」選手!
「セニョール・ペルフェクト」とあだ名される
覆面レスラーの「スペル・デルフィン」選手には
私が唯一脚本を手がけたTVドラマ
『コワイ童話 不思議の国のアリス』で
あろう事か普通のサラリーマン役を演じてもらった!
子供の頃には
「自分とアントニオ猪木の区別がつかなかった」
そんな私は
レスラーを前にすると子供同然になってしまう!
稽古を前に「川田利明」選手と
難波の中華料理屋で初めて会った際にも
普段は「クレージーゴン」とあだ名される大食漢の私が
”昼定食を若干残す”
という異例の緊張ぶりを露呈してしまったのだった!
「演劇とプロレスはよく似ている」
と多くの演劇関係者は言う!
私もそう思う!
特に”芸術”を嫌い”エンターテインメント”に徹したい
そんな私にしてみれば
演劇とプロレスには多くの共通点がある!
まずは「ライブ」である事!
そして「ストーリー」に引き込む事!
お互いの根本であるその2点!
それらが共通している時点で
両ジャンルは酷似していると言える!
レスラーを俳優として起用する際
私はいつも驚かされる!
「背中で見せる演技」
というのは俳優が学ぶ最終レベルの難題だ!
どれほど有名な俳優でも
まだそれを身につけていない人すら存在する!
しかしレスラーにそれは許されない!
なぜなら彼らの職業は
パンツ一枚で360℃の視点から
己を見つめられる仕事だからだ!
背後から見ている観客にも
”痛み”や”怒り”が伝わらなければ
プロのレスラーとしては成立しない!
「デンジャラスK」は普段から無口な選手で
台詞に関してもずば抜けて上手な俳優とは
言い難かったかもしれない!
だが彼が黙った時!
その雄弁さに私は驚かされた!
彼は実に多くをよどみなく語る優秀な俳優になった!
「技はですね!
たいがい外した時に怪我するんですよ!
若い連中に怪我が多いのもそういう事なんです!
だからねぇ!
最後に内場さんを蹴るのが怖いんですよねぇ!」
多くのお客さんに心配してもらったが
本編ラストに見せる「内場勝則」座長への
度肝を抜く強烈な顔面キックは
もちろん実際には当たっていない!
しかしそのシーンのリハーサルにおいて
「デンジャラスK」は自らの足を痛め
楽屋で足をさすりながら私に前述の話をしてくれた!
なるほどプロレスとはそういう物か!
正確に強く当てるプロ!
そしてそれを安全に受ける訓練を積んだプロ!
そんな2者が見せる物だからこそ
私はその世界に今なお酔いしれているのだ!
「本番が終わってしまったら
楽屋で沢山のお客さんにお会いしているうちに
言いそびれてしまうのが怖いので
今この本番中に言っておきます!
本当にお世話になりました!」
後にも先にも出演俳優から
これほどジェントルな挨拶をされたのは
「デンジャラスK」が初めてである!
私はそこにスポーツマンの美しさを見た!
ちなみに
飲み屋で酔いが廻ると
すぐに話題がエロい方向に行くのも
”スポーツマンらしさ”で片付けてみたのだった!
「三沢さんが飲んだらエロ話ばっかりする人だったんで!」
ややっ!
こういう時には
「三沢さん」のせいにするのか!
ずるいぞ「デンジャラスK」!
・「水野真紀」の場合
彼女とは実に多くの仕事をして来た!
『ダブリンの鐘つきカビ人間』で出会い
かれこれ8年になる!
朗読劇『ラブ・レターズ』を二人で読んだりもした!
Piperによる深夜番組『発熱!猿人ショー』では
夫婦役でコントを演じたりもしたし
『恐竜と隣人のポルカ』では
がっつりとコメディエンヌの仕事をしてもらった!
私から仕事の依頼があると彼女は緊張する!
彼女にドタバタ・コメディの仕事を依頼する者など
恐らく私しかいないせいだ!
だから以前の彼女は緊張のあまり
「コメディ」を演じてしまっていた!
お客さんを笑わせようという空気を出す
その努力をしてしまっていた!
しかしそれは「コメディ」を演じる上で正解ではい!
なぜなら私はそもそも「コメディ」を
脚本で書いているからだ!
”常識では対応しきれない珍事”!
私はそれを緻密に計算し
時には思いきりな力技を加えて
脚本を書き上げる!
ゆえに続いて必要となるものは
その世界に観客をいざなうコメディアンだ!
ありえない事件に真剣に挑む人達があってこそ
そこに世界が生まれ
コメディが完成する!
つまりそこに
「笑わせる努力をする人」がいてはいけない!
”こんなに大変な事になってるのに
あんたらどうして笑ってんだよ!”
と客席に向かって涙ながらに怒鳴る態度を見せてこそ
コメディアンの仕事が成立すると私は考えているのだ!
ゆえに私だけが従う哲学「ひろソフィー」には
「コメディ」に関してこんな一節がある!
「コメディを演じる者は
コメディを演じてはいけない」
この一見理解するのが難しい一節には
そういう意味があるのだ!
『コーポからほり303』の通算第6話
『嫁さんは水野真紀』!
これは私がこれまで書いた多数のコメディ脚本の中でも
上位にランキングされる出来の作品となった!
上演されたその作品に最も貢献してくれたのは
コメディを演じようとせず
女優とし加害者兼被害者を演じた「水野真紀」嬢だった!
はてさて!
そんな「王立新喜劇」!
東京公演には沢山の芸能関係者が客席に現れた!
「あっくん」こと「キングコング西野」!
「デンジャラスK」とは対戦した事もある
「レイザーラモンRG」!
自称・高級アイドル「武内由紀子」と
かつての彼女の同僚にして
何も自称する必要がない美しさを保つ
「中野公美子」ちゃん!
大阪公演にも来てくれた
「あたるちゃん」こと「中村中」ちゃんと
彼女の仲良しにして
世界を滅ぼす要因となりそうな危険人物
「へんてこ君」こと「篠原ともえ」!
「未知やすえ」嬢の『ウェルかめ』つながりでは
「石黒賢」さんや「羽田美智子」さんの姿もあった!
みなさん客席で大笑いしてくれていたが
そんな中!
ひときわ出演者一同を緊張させた
「伝説のコメディアン」が
客席で圧倒的な存在感を漂わせていた!
その人が見ているというだけで
ほとんどの出演者がひるんだ!
いずれまたその話でひろぎたいと思う!
そんな気持ちを胸に
自動販売機が受け付けなかった10円玉を
久しぶりの「ピカール」!
昭和27年と言えば1952年!
私のパパが17歳の頃の物ではないか!
(ピカール前)
調べてみれば十円硬貨の鋳造開始は
昭和26年!
これはなんとその翌年の十円硬貨だ!
古銭マニアに言わせれば
表面を削る「ピカール」など
するべきではない!
と叱られるのかもしれないが
なにしろ私は”古銭マニア”ではなく
”ピカール・マニア”だ!
現役として活躍した58年分の汚れを
落とさせていただいた!
昭和26年の十円硬貨に出会うまでは
書斎「LEVEL 4」に飾っておこうと思う!
(ピカール後)